脂肪を利用した好気呼吸の能力を鍛えるためには、その特性について知っておく必要があります。
それは、人は常にグルコースを利用した好気呼吸を使いたがるという事、そして代謝が安定しないと脂肪を利用した好気呼吸の比率は上がっていかないという事です。
その為、以下の3点を意識すると良いでしょう。

(1)普段の練習時に砂糖、ブドウ糖液等、果糖等の等類が入った飲料(スポーツドリンクなど)を飲まない
これは人がグリコーゲンを利用したがるという性質を考慮してのことです。
通常人の代謝は運動し始めは主にグリコーゲンが使用され、代謝が安定すると脂肪を利用する比率が上がっていきます。
しかし、そうやって脂肪の代謝比率が高まっても、そこで砂糖やブドウ糖液糖等が多量に含まれる飲料を取ると、すぐに血糖値が上がって糖を利用する代謝比率が高まってしまい、脂肪があまり使われなくなってしまいます。
それが最高のパフォーマンスを発揮しなければならない日(試合等)であればそれでもいいんですが、持久力を鍛えるという観点からすると平常の練習時に使用するのは好ましくありません。
スポーツドリンクというといかにも運動時の水分補給に最適というような宣伝がされ、またそういうイメージを持っている人も多いと思いますが、状況によっては全く適した飲料とは言えない(むしろ害も多い)為、使用する際は本当にそれが必要な状況かを適切に判断しましょう。また、クエン酸入りの飲料も同様に好ましくないので注意です(結局糖利用の代謝回路が使われるわけですし)。
なお、運動中に失われ補給する必要が出てくるミネラルはほぼNa(ナトリウム)のみですが、どうしてもこれを補給したい場合は、アクエリアスゼロカロリーやヴァーム等の砂糖やブドウ糖液豆不使用(両飲料とも果糖使用)で、かつ炭水化物がほとんど含まれない(100ml中に1g未満)の飲料を利用するとよいでしょう。
生理食塩水を作るのも一つの手ではありますが、準備が面倒くさいですし、味もあまり良くないのでおそらく殆どの人が続かないでしょうしね。
ただし、殆どのケースにおいて日頃の食生活がきちんとしていれば、単純に水を飲むだけで問題ないかと思われます。

(2)食前あるいは食間(空腹時)に強度の低い運動(有酸素運動)を長時間行う
これは、体内のグリコーゲンが減少しているときにあえて運動を行う事で、脂肪の使用する能力を強引に高めようという手法です。
但し、気を付けなければいけないのは絶対に強度の高い運動(嫌気呼吸優位の運動)を行ってはいけないという事です。
常に有酸素運動が優位な運動を行う事が絶対条件で、目安としては心拍数140位の運動を心がけるとよいでしょう。
有酸素運動的な持久力が高い人は心拍数160くらいまでは大丈夫でしょうが、一般的な人であれば140くらいが無難だと思います。
尚この時に、なるべくペース変化を付けず一定の速度で走るようにしましょう。また、アップダウンの多いコースも避けるべきです。
空腹時に糖を多量に必要とする運動(≒嫌気呼吸優位の運動)を行う事はかなりリスクが高く、場合によってはトレーニング効果を得るどころか逆効果になってしまう事すらあります(これはまた別記事で書きます)。
ちょっと軽すぎるかなというくらいの強度の運動を、30分から1時間程度行えば十分だと思われます。

(3)日常で砂糖を含む食品や飲料を制限する
まず先に断っておきますが、これは低糖質ダイエットのことを指しているわけではありません。
むしろ強度の高い運動を日常的に行うアスリートにとって、低糖質ダイエットなど百害あって一利なしです。
これは、食事において炭水化物を補給するのは制限しません(取り過ぎはいけませんが)。
制限するのはお菓子や菓子パン・総菜パン(パン自体に砂糖が多く使われている)、砂糖が入っている飲料全般等、とにかく原材料に砂糖やブドウ糖液糖、果糖が書かれているものです。
良く疲れたら甘いものをなどと言われますし、それもある意味間違ってはいないのですが、脂肪代謝能力を高めるという点では好ましくないということですね。
なお、食事の調味料などにも制限を加えるのはあまりにろ大変なので、食事で調味料として使用する分には制限せずとも好いと思います。
こうすることで、糖類が食事からしか補給されない状態を日常的に作り出し、脂肪代謝を強制的に働かせるわけです。
なお、これはずっと続ける必要はなく、1か月から長くとも2か月くらい行えばよいかと思います。
因みにこれは私の経験談でしかありませんが、この生活を1か月続けた後はお菓子などが恋しくなるかと思っていたのですが、むしろあまり欲しく無くなりました。
食べたら食べたでおいしいと思いますが、そんなにたくさん食べなくても満足するようになりました。
これは、脂肪代謝能力が高まった結果、体があまり糖類を欲しなくなったのだろうと解釈しています。
ただし、これを行う際にはあまりストレスをため込まない範囲で行いましょう。
過度なストレスを抱えたままこれを実行してしまうと、反動でものすごく大量のお菓子を取ったりする可能性があるからです。
場合によっては精神のバランスを屑人もいるようなので、前に挙げた二つの方法にちょっと追加でやってみるくらいの感覚でよいと思います。
ただし、人によってはタバコを止めるより砂糖を止める方がよほど持久力が上がるとまで言う人もいますし、代謝の面から見ても効果が期待できる要素があるので、試してみる価値はあると思います。