技術というものは基本的に単独で存在するものは殆ど存在せず、様々な技術が相互に関連して存在していると私は考えています。私のイメージはピラミッド状のものではなく、マインドマップや脳神経細胞の結合のような繋がり方をイメージしています。
 これらの繋がりをどれだけ明確に意識できるかが、技術を身に着ける際に非常に重要になります。そしてその為には、自分の体をどう扱うかという事をどれだけ詳細に考えられるかが鍵となります。なぜならば、トリックとして見ると全く別の要素を持っているように見えるものが、体の使い方から見ると大きく関連しており動きの応用が可能だったり、動きの修正に使えたりするということが往々にしてあるからです。
 例えば私はsteppingが非常に苦手だった当初、barrageの練習を行ったことによりsteppingが大きく改善されるという現象が起きました。このことを人に話した時に関係ないだろうと言われたりしたのですが、私は大いに関係していたと考えています。
 具体的には、私がsteppingを行う際にデックス足の股関節を外旋及び外転させる動きに難があったところに、barrageを練習することで股関節を外旋・外転させる動きが改善されたために、同時にsteppingも改善されたと捉えています。このように、技術をただトリックとしてしか捉えて体の動きに目を向けていないと、技術の関連性には気づきにくくなります。
 大切なのはそのトリックを行う時にどのような体の使い方を要求されるのかを徹底的に把握する事です。トリックはいわば技術の表層部であり、その根幹あるいはエッセンスともいうべき部分は自分の体の使い方にあるのです。
 ですので、どんなトリックを練習するにせよ、そのトリックを行う時にどのような体の使い方をするのかを常に意識しましょう。そうすると、どのような動きを改善せねばならないかを把握できる能力が向上しますし、技術の関連について意外な繋がりを見つけることが出来たりします。

 また、この感覚を磨くには動画を撮って確認することが非常に大切です。何故ならば、自分の感覚と実際の動きに多かれ少なかれずれがあるものだからです。自分の感覚ではこう動いているというイメージと、動画を撮っての実際の動きは結構違っていたりします。自分ではかなり足を高く上げているつもりが実は全然上がっていなかったり、スピンの速度が足りていないのだろうかと考えていたら実際には十分に足りていてセットの方に問題が有ったりなど等。そういったずれを客観的に見つけるために、動画を撮るというのはとても有効な手段になります。
 一方で、同様の取り組みとしてよく鏡に映った自分の動きを確認する行為が有りますが、私はこの確認の仕方は非推奨です。人は視覚情報に非常に影響されやすいために、鏡を見ながら動いてしまうとどうしても自分の感覚が自分が見た姿に引っ張られてしまうからです。

 私自身明確に自分の体の使い方を明確に意識し始めたのはかなり遅い方(大学4年時)なんですけど、それでも技術を考えるうえで非常に重要だと実感しています。テニスに関してせめて大学入学時に気付けていればと思わないでもありませんが、まあそれは言っても詮の無い事ですし、むしろそれに気付けただけでも幸運だと思うべきなのでしょう。