人の技術の真似をするという事をあまり良い事と捉えない人もいるようですが、競技スポーツにおいては大いに推奨される行為です。ですが、真似をするという事の意味を勘違いしている人も多いので、一応解説しておきます。
 良く真似をするという事でフォームを対象に近づける行為を行いますが、このフォームを同じにすることは真似をするという事の本質ではありません。大切なことは、フォームを真似ることにより「その技術を構成する要素の根幹」を掴む事です。

 自分が習得していない技術を練習する際に、まずどのように練習すれば良いのかすら分からない事が少なくありません。その為に最も効率的な練習は、「その技術を習得している人の真似をする」事が非常に多いです。ですが、その真似をすると言ってフォームだけを真似しても、その技術を習得できていない事が実は多いですし、最も重要な事でもありません。
 外面的にはそっくりなまでにフォームをコピーできる場合もありますが、場合によってはそれでも安定性に難が有ったり、全く応用が利かなかったりします。それは、技術について理解が深まらないままに形だけを真似しているからです。言葉は悪いですが猿真似というやつですね。

 人の技術を真似するときに大切なのは、「その形を真似したときにどのような感覚の変化があるのか」を感じ取り、「その変化した感覚のどの部分が重要なのか」を見極める事です。
 人はそれぞれに様々な個性が有ります。各部位の可動域やサイズの違いもありますし、感覚についても直接比較することが困難ですがやはり人それぞれに違うものだと感じることが多いです。だとすれば、その人によって最適な動き(フォーム)というものは必然的に違ってきます。だからこそ、フォームを真似る事は唯の手段であり、目的ではありません。
 先に挙げた感覚の変化と重要な部分を見極める事が出来れば、だんだんと自分にとって最適な動きが予想できるようになってきます。その段階で、自分のフォームが真似したいフォームとずれていくでしょうが、それは全く問題ありません。むしろ、自分に最適なフォームを選択している訳で、大いに推奨される事です。
 言い方を変えれば、人のフォームの真似をするというのは技術の取っ掛かりを掴む手段として有用ですが、技術を身に着け極めていく上ではむしろ真似することに執着しない方が良いという事です。

 また、他人の技術の真似をするときはなるべく「最高峰のレベル」を参考にした方が良いです。プロがあるスポーツであるならばプロの中でもトップを、そうでないならば各種国際大会の上位者をという事です。フットバッグで言えば、Vasek Klouda、Honza Wever、Milan Benda等の歴代ワールズ優勝者あるいは同等レベルの選手を参考にした方が良いでしょう。
 高いレベルの選手の真似など出来るはずがないと言って自分にレベルが近い人を参考にする人が居ますが、私はこの行為は推奨できません。技術が高いという事はそれだけそれぞれの技術が洗練されているという事であり、その様な技術は「誰にとっても良い」技術であることが多いからです。むしろ、技術レベルが低いからこそ、世界トップレベルの技術を参考にしフィードバックする方が為になると思います。
 逆にそこまで技術レベルの高くない人を真似してしまうと、洗練されていない部分(いわば悪い技術や未熟な技術)まで習得し、更にそれが良いか悪いか判断できなかった時に、修正されないまま悪い動きが癖になる可能性が有ります。
 もっともフットバッグは非常に多くの技術要素が有り、各種要素について部分的に秀でている人もいるために、ある程度複数人を参考するべきだとは思いますが。
 次回の記事では、私が見た限りではありますがお勧めの選手と動画を紹介したいと思います。