人が高いレベルを目指して練習をするときに、様々に必要な姿勢(≒習慣)が有ります。それらのいくつかについてはこれまで触れてきましたが、今回は目の前のことに集中する大切さについて述べようと思います。
 と言っても、これを人に説明したりすると結構理解してもらえないことが多かったりしますが……
 まあ、あくまで私の個人的な見解も含まれている為、必ずしも正しいとはいえない面はあると思います。ですが、様々な点から考えて、とても大切なことだと思っています。

 目の前のことに集中するなんて当たり前じゃないか、という人もいるかもしれませんが、本当の意味で目の前のことだけに集中するというのは実はかなり大変なことです。
 例えば、後に控えている練習を思い浮かべて、今やっている練習で力をセーブしたり途中で切り上げたりしたことは有りませんか。また、疲れで思うように体が動かないときに、それまでにこなした練習やトレーニングを思い出してしょうがないと妥協したことは?
 これらは、どれも目の前の事だけに集中できていない例です。

 どんな練習に取り組むにせよ、ただその練習を行って上達することに全精力をかけるべきなのです。後にどんな練習が控えているかとか、それまでどんな練習をこなしたかとかは、全く余計なことでしかありません。また、これらの事を考えてしまえば集中力を落とすだけでなく、様々な妥協を生む事にもなります。

 そういった思考は全て取り払って、ひたすらに今行っている練習に集中し全力を尽くしましょう。それが後の練習にひびくなら、それは持久力の不足として反省材料にすれば良いのです。
 また、疲労がたまっていたとしても、「疲労がたまっている」というのを一つの自分の状態として認識したうえで、どういう風に取り組むかどのように工夫するかを考えるべきです。
 そうして目の前の練習のみに集中できたときは、非常に質の高い練習が出来るようになります。また、これが出来る人(あるいは取り組んでいる人)は物凄く速いスピードで成長してゆきます。勿論、完全に雑念を払うというのは極めて難しい事ですが、出来ないなりに毎回取り組み続けることが非常に大切なのだと思います。
 そうしてひたすらに目の前の事だけに集中しようと取り組み続けると、時折本当に無心に動ける瞬間が訪れます。そういった状態に入り込めたときの練習は物凄く質が高いものになりますし、自らの課題についても大きな進展を得られることが多いです。
 ただし、ここでいう無心というのは打算や妥協がないということであり、何も考えていないといういわゆる無の境地のような状態のことではありません。そもそも、できないことをできるようなることが目的の練習において、無の境地に入ることは大して意味のあることではありません。

 ただひたすら現在の事に集中するというのは、私は一つの技術だと思っています。単に心の持ちようでどうにかなるものではなく、日頃から繰り返し練習することで身につくものだと考えているからです。
 但し、これに取り組むと練習が尋常ではない位きつくなるので、覚悟しておきましょう。ですが、いちいち練習を計算をしなければこなせないようでは、高いレベルに到達するにはできたとしても非常に長い時間がかかるでしょう。
 練習の後半がどんなにドロドロになっても良いので、全ての練習に全精力を架ける事を実践した方が良いと私は思っています。
 なお、この目の前のことに集中するという技術を磨くと、予測能力を鍛える事にも繋がるので、常に心がけているとかなり練習の質を上げることが出来るようになると考えています。予測能力の高め方については次回の記事で説明します。