そもそも技術を安定させるのは反復練習による結果なのではないかという指摘はその通りです。ですが、技術そのものが安定に向いているかどうかという考え方も非常に大切です。
 例えば技術的な気付きがあった時に、その前の動きと比して安定しているかどうか、あるいは真似したいと思った技術が自分の現在の技術と比して安定する見込みがあるか、という視点で考える訳ですね。そして、動作が安定して出来るという事は、その動作の再現が容易であるという事です。これは、特に意識しなくても同じような動作を取れるかという視点が重要になるでしょう。
 ちょっと違う分野になりますが、今回はゴルフの例を取り上げてみましょう。
 あまりゴルフをやった事のない人は(まあ私もですけど)遠くに飛ばす技術程、難しいのではないかと考える人が多いと思います。ですが、ゴルフにおいて難しいとされているのはサンドウェッジやピッチングウェッジを使った「グリーンの近くから寄せる」技術と、パターを用いた「グリーン上のボールをカップに入れる」技術だと言われています。
 それは何故か、この二種の技術は状況に応じて力加減を調整する必要があり、無意識的な操作が殆どないからです(勿論それ以外にもいろいろ要因はありますが)。
 逆にそれ以上のクラブ、例えばドライバーや7番アイアン等は、その人の「フルスイングによって飛ぶ距離」が決まっています。もちろん多少のブレは有りますし比較的という意味ですけどね。例えばA選手が7番アイアンでフルスイングすれば140ヤード前後飛ぶといった具合ですね。
 よって、距離によって最適なクラブを選択すれば、後は自分にとってベストなスイングが一つに絞られる、言い換えればスイングの調整が大きくは必要ないというケースが多くなります。このようなケースだと比較的にではありますが動作を再現することが容易になります。当然、無意識化において出力を安定させるための反復練習は相応に必要になりますが。
 勿論、風向きによってボールの打ち上げ角度を調整したり、あるいはコースに応じてボールを曲げたりするので完全に1種類という訳ではありませんが、それらもフルスイングからの派生技術ではあるので応用が利きやすいと考えられます。
 これはあくまで一例ですけど、フットバッグにおいても似たような考えを持って判断した方が良いでしょう。
 トリックに挑むたびに微細な力加減や動作速度の調整を必要とするような技術は、どうしても再現性に難があります。また、無意識化もその仕組み上ほぼ不可能になります。これについては、むしろ全力またはそれに近いくらいに出力しているほうが安定しやすいという事も多くあります。自転車であまりに遅い速度で走ると安定せず、速いスピードで走っていた方が大勢を安定させるのが容易なことと似ているかもしれません。
 これは私のテニスでの経験になりますが、全力による出力、9割の出力、8割の出力、といったあたりまではほぼ無意識に、あるはほとんど自動的に再現できるようになると思います。場合によってはちょっとした切り替えるためのトリガーが必要だったりしますが、それも最小限で済みます。
 ですがそれ以下の出力にするには自分で意図的に出力を調整する必要が無視できないレベルで増え、一定での再現はかなり難しいです。テニスをやったことがある人には、ドロップショットやショートクロスへのショットがフルスイングのショットより難しいのは同意してもらえるでしょう。
 フットバッグで言えば、全力の出力はさして必要ないと考えられるので、8割の出力と9割の出力の感覚を身に着けるとよいのではないでしょうか。そして、動作の途中で出力を変化させるような動作を極力排除するべきです。
 勿論複雑なトリックなどでは限度はあるでしょうけど、このような視点で常に安定に適した動作を求め続けることが、高い安定性を得るためには不可欠です。