2-1-3 好気呼吸的な持久力について

 さて今回は好気呼吸的な持久力の話です。一般的な方が持久力と言われた場合、ほぼこの持久力を想像するでしょう。
 今回も、好気呼吸によるエネルギー(ATP)生産という観点から考えます。
大事な能力は二つあり、「酸素を体内(細胞内)に取り込む能力」と「酸素を用いてATPを生産する能力」に分けて考えられます。

(1)酸素を取り込む能力
 こちらは読んで字のごとくですが、好気呼吸によりエネルギーを生産したいならば、各細胞にきちんと酸素が供給されなければなりません。
 この能力が低いと細胞に酸素が供給されず、低い運動強度ですらすぐに嫌気呼吸優位になってしまいます。
 分かりやすい症状としては、すぐに「息が切れる」という事でしょうか。ですので、この能力を鍛えることを心肺機能の強化と言う事も良くあります。
 これは更に分けると「肺が酸素を取り込む能力」と「取り込んだ酸素を各細胞に運搬する能力」に分けられます。
 前者については肺機能に高い負荷をかけることで鍛えることが出来ます。インターバルトレーニングはその代表と言えるでしょう。
  ランニングについてある程度学んだ人であれば、VO2MAXを鍛えるという言葉を知っているでしょうが、それともほぼ同じ意味となります。
 酸素を運搬する能力については、心臓の能力を鍛えることと血液による酸素の運搬能力そのものを鍛える事が挙げられます。
 心臓の能力については肺の能力を鍛えることとほぼ一緒のトレーニング内容となり、インターバルトレーニングなどで鍛える事が出来ます。
 もっとも、インターバルトレーニングと言っても多くの種類がありますが、フットバッグに適しているものとして一例を挙げると、200mのインターバルでしょう。
 やり方としては、ある程度高強度(心拍数が160を超える強度)で200mを走り、2分~2分30秒程度休息後また200mを高強度で走る、というルーティーンを5~10回程度行います。休息は止まって休んでもいいですし、200mをゆっくりジョグするのも良いでしょう。
 フットバッグそのものでインターバルトレーニングを行いたい場合は、高強度のシュレッドを30~40コンタクト程度、20秒~30秒程度休息、高強度のシュレッドといったルーティーンを5~10セット程度繰り返してみてください。
 フットバッグで行う場合、どうしても200m走ほどには強度を上げられないので、その分休息を短くすることで心肺に負荷をかけます。
 血液による酸素運搬能力について鍛えることはかなり難しいです。一応、マラソン等の長距離種目の選手が行う高地トレーニングは、その代表と言えるでしょうか。
 高地トレーニングはあえて酸素が薄い状況下でトレーニングすることで、血液中に含まれる赤血球の酸素と結びつく能力を高めるというのが、一般にその効果の根拠となっています。
 但し、先にも言った通り一般的なトレーニング手法としてあまり現実的でない、それこそ数週間単位で高地トレーニング合宿に行くとかしないと無理なので、心肺機能を鍛える方法をトレーニングの中心に据えることとなるでしょう。

(2)酸素を用いてエネルギーを生産する能力
 どんなに酸素が上手く供給されても、それを用いてエネルギーを生産する能力がおいつかなければ嫌気呼吸優位に傾いてしまいます。そうなると結局は長い運動が続けることが不可能になります。
 こちらの場合症状としては、フットバッグなら「足が動かなくなる」感覚が一般的でしょうか。
 この能力は好気呼吸がミトコンドリアで行われることから、ミトコンドリアの能力などと言ったりもしますね(あまり一般的ではないですが)。
 こちらの能力は、一定の強度の運動を長時間行う事で鍛える事が出来ます。
一般的は、心拍数140~160程度の運動を少なくとも30分以上、なるべくなら1時間あるいはそれ以上行う事が良いとされています。
 フットバッグで同様の練習を行う場合は、技の難易度や強度を落として、コンタクト数を増やす練習が必要となります。まずは100コンタクトを目安に、連続して蹴ることを目指してみると良いでしょう。
 もちろんノードロップが理想ではありますが、ドロップしても問題ありません。その代わりに、息をつかずに拾い上げ、シュレッドを継続してください。
 とは言え、フットバッグのシュレッドでは、どれだけ強度を落としてもせいぜい2~3分程度が限界と言え、これは好気呼吸系の運動においては、最も高い強度に属します。
 ですが、これより強度を落として長時間というのは難しいので、やはりフットバッグ以外で長距離・長時間のランニングを取り入れることが、最も効率が良いと思われます。

 さて、好気呼吸によるエネルギー生産という観点から持久力について考えてきました。
 ここで注意したいのは、インターバルトレーニングを行うことは確かに心肺系を鍛えることをメインとしますが、ではエネルギー生産能力のトレーニングにならないかと言われればそんなことは無いです。
 また、低い強度で長距離・長時間走るトレーニングが、心肺系のトレーニングにならないという事も、同様にありません。あくまでどちらに比重があるかという話です。
 ですが上記のことを考えると、インターバルトレーニングのような心肺機能に負荷をかけるトレーニングだけでも、ランニングのような長距離走だけでも十分でないことが分かります。
 どちらも重要なトレーニングであり、両方をバランスよく行っていかなければならないでしょう。
 しかしながら、フットバッグの練習そのものがそれなりに強度が高く、どちらかと言えばインターバル的なトレーニング内容を多く含むので、まずはどちらか一方を取り入れるとなれば、艇~中強度で長距離・長時間のランニングを取り入れた方が効果が出やすいと思われます。

 おそらく、フットバッグを行うだけでは、特に上級者においては十分な負荷を得られなくなることが多くなるでしょう。
 心肺機能に負荷をかけるという面では、単純に強度が不足します。
 そのことを考慮した内容の練習を行えば負荷をかけることは可能ですが、そういった練習だけではなく、技術習得をメインとした練習も行わなければなりません。
 特にフットバッグは技術要素が占める割合が非常に多い競技特性なので、身体的な負荷の高い練習ばかりを多くするわけにはいきません。
 また、酸素を用いてエネルギーを生産する能力については、フットバッグ自体がペース変化が激しくまた長時間一定の強度で行うような運動でもない(嫌気呼吸優位に傾きやすい)ことから、こちらの面で鍛えることはあまり現実的ではありません。
 もちろん一日の練習が1~2時間となればそれなりに好気呼吸系の持久力は鍛えられますが、限界があるのです。
 フットバッグを始めた段階、要は各種体力が低い状態においてはフットバッグだけを行うことで十分に鍛えられますが、ある程度競技力が向上してきた段階においては、フットバッグのみで持久力を鍛えることはかなり難しくなります。
 そのため、やはりフットバッグ以外の運動を取り入れることが、総合的に見れば持久力を含めた体力の向上には効率が良く、競技力を高めるという点でも有効だと言えます。

※注意すべきこと
 確かに自分が取り組む競技以外のトレーニングを取り入れることは、やり方さえ間違えなければ非常に高い効果を生みます。
 しかしながら、当然そこには守らなければならない大原則があり、「自分の競技そのもの(ここではフットバッグ)の練習時間を、それ以外の運動系によるトレーニング時間が超えてはならない」という事です。
 基本的に一般的体力を鍛えるために取り入れるトレーニングは、やればやるだけ確実に結果が返ってくることが多く、それが楽しくて、気づけば自分の専門種目の練習以上にトレーニングに時間を費やしてしまうという事態に陥る人が少なくありません。
 あくまで、何のためにトレーニングをしているかという目的(自分の専門種目のレベルを高める為)を明確にし、その手段であるはずのトレーニングが目的となってしまわないように気を付ける必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA