3-1 練習内容の考え方と練習回数

 さて、これまで代謝の仕組みの説明を踏まえて持久力について色々と説明してきました。
 この章ではより具体的に、実際にどのようにして練習計画を立てていくのか、という点について順に解説していきます。

1.練習は週に何回すべきか
 この点については、人によっていろいろと意見があるように思います。
 練習は毎日するべきだ、いや休息日を設けなければならない、練習の量よりも質を重視すべきだなど等。
 この最後の練習の量と質については個人的にかなり思うところがあるので、後に単独の記事で詳しく触れます。
 まず、競技者としてパフォーマンスを高めるために、確保すべき必須の練習回数から考えましょう。
 結論から先に言うと、週に4回の練習は最低限確保しましょう。
 もし週に3回以下の練習しか確保できないなら、競技者としてのレベルを獲得するのは非常に難しい事を覚悟すべきです。
 まあ、週4回でもかなり厳しいものが有りますが、週4回と週3回には非常に大きな差が存在します。
 これは、練習プランを立てるとすぐにわかります。
 週3回で均等に練習を配置(一般的にその方が効果的)すると、「連続して練習する日がなく、2日空く日が1回ある」プランになります。
 これが週4回になると、「練習しない日が2日以上連続して存在せず、週に1回は2日連続して練習する日がある」プランになります。
 この練習しない日が2日以上連続しないという点が、技術習得と持久力を含めた体力の向上の両面から見て非常に大きな差となります。
 基本的に、人が技術を身に着けるにしろ体力を向上させるにしろ、継続的な反復以外の方法はありません。そしてそれは、一定以上の頻度を保つ方がとても効果的です。
 よくフィットネスやダイエットにおける運動処方において、週に一回重い練習(例えば2~3時間程度のランニング等)を行うよりも、同じ時間を複数回に分散させた方が良いとされていると思いますが、同じ考え方に基づきます。
 特に競技レベルでのパフォーマンス向上を考えたときに、やはり二日休息日が連続する、ましてやそれが毎週あるというのはかなり罪が重いのです。
 週に1回、月に4回しか変わらないじゃないか、と思う人もいるかもしれませんが、この差は単純にその回数以上の差となって現れます。
 イメージとしては、週4回もしくはそれ以上の練習を行っている場合は常に前進している、週3回以下の練習であればトータルでは前進しつつも後退が含まれるという感じです。
 因みに週2回になるとかなり維持に近くなりますし、週1回になってしまうと維持が最大の成果になってしまうと言えるでしょう。
 

2.ならば毎日練習すればよいか
 先ほどの事を踏まえた上で、練習の量のみを重視すると毎日練習することが最も効果的と考えてしまう人もいると思いますし、実際にこの考え方のスポーツ指導者もまだそれなりに存在するように思います。
 しかし、人の体の仕組みを考えた時に、特に体力向上の観点から毎日練習するのはあまり良くないという事が分かります。
 人の体力が向上するのは、超回復の原理もしくは負荷に対する適応の概念に基づきます。
 人の体に負荷をかけるとダメージを受け一時的に体力が低下しますが、そのダメージを回復する際にダメージを受ける前よりも高い水準まで回復させるというのが超回復の原理です。
 そして、この高い水準まで回復したときに次の練習を行うようにすれば、体力が向上していくという訳です。
 この超回復はそれなりの休息が必要であり、かかる時間は体へのダメージ(負荷の高さ)に応じて変化します。
 負荷に対する適応に関しても、負荷をかけたその時にすぐに体力等が向上する訳ではなく、やはり日々の休息の中(特に睡眠中)にパフォーマンスが向上します。
 あまり負荷が高くない内容なら、適切な栄養を摂った上で一晩寝れば大体回復しますが、高い負荷がかかった場合は2日程度の休息を必要とする(練習の合間に丸1日の休息日が必要になる)ことが多いですし、場合によっては更に休みが必要になったりもします。
 もし高い負荷をかけた後に、元の水準に戻らない状態でさらに負荷をかけると、体力はむしろ低下していきます。
 この状態が続くと、慢性的な疲労によりパフォーマンスが低下するのみならず、様々な障害が発生しやすくなってしまいます。いわゆるオーバートレーニングというやつですね。
 そういった訳で、毎日練習すると休息日が無いため、どうしても高い負荷の練習は行えないことになります。
 そうなると、どんなに量は確保していると言っても質で著しく劣るため、結局は非効率な練習になってしまうでしょう。
 毎日練習していると凄く頑張っているように聞こえるかもしれませんが、実際の所は毎日こなせるような練習しかできない(≒割とぬるい練習である)という事です。

(3)理想の練習回数
 ここまで説明してきたことを踏まえて、じゃあ何回の練習が理想なのでしょうか。
 まだ議論の余地はあると思いますが、現状では「5勤2休」が良いのではないかとされています。週に5日の練習およびトレーニング、2日が休息日という事です。仮に増やすとしても6回まで、毎日はタブーです。
 週5日の練習の場合で考えて、大抵の場合は均等配置にするので、2日練習して1日休み、3日練習して1日休みという事ですね。もっとも、このあたりはプランの立て方によって色々と変化しますが。
 そして、休息日前日の練習は身体的に負荷の高い練習を行い体力向上を主目的とし、それ以外の日は体力向上よりも技術習得に重きを置くとよいでしょう。
 こうすると、技術習得と体力向上の両面から練習量とその質を確保しやすく、効率的な練習となりやすいです。
 目安として、土日連続して練習(日曜に負荷の高い練習)、月曜休み、火水木連続して練習(木曜に負荷の高い練習)、金曜休みという事になるでしょうか。
 これは、一般に土日が休みの人が多く時間を取りやすいため、2日連続でも平日の3日連続に匹敵するような量を確保しやすいためです。
 ですので、土日より平日に時間が取りやすい人はこの限りではありません。
 また、休息の取り方はその人の回復する能力によって変わるので、機械的に上記のスケジュールで行えばよいというものでもありません。
 特に非常に負荷の高い練習を取り入れた当初などは、1日の休息日だけでは回復しきれないことも十分考えられます。
 その場合は休息日をもう1日取ったり、練習するにしても内容を軽めにするなどの調整を行いましょう。規律は大事ですが、柔軟性を持たせることもまた重要なのです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA