技術が安定していることが技術が高いこととイコールでないことは、一つ前の記事で書きました。ある技術が安定しているからと言って難しいことが出来るとは限りませんし、その逆もまた然りです。
もっとも、難しい技術が出来るようになればなるほど、技術の安定化に寄与することも事実ではあります。その人にとって難しいと感じる技術よりも、簡単に感じる技術の方が安定させやすいからです。
例えばpdx whirlの安定化の練習一つとっても、その人にとって出来る技の最高難度のトリックがpdx whirlの人と、spinning ducking pdx whirling rakeが最高難度の人では、後者の人が早いスピードでより高い安定性を得られるようになる可能性が高いという事ですね。
ですが、人はもともとミスなく安定して何かを行う、という事にあまり向いていません。「人は必ずミスをする」のです。
ですので、少なくともフリースタイルに必要なレベルの安定性を得るためには、相応の安定させる事に特化した反復練習をせねばなりません。
高度な技術へのチャレンジと、高いレベルでの安定化は、これまで述べてきたようにお互いに影響を与えますが、同時に行うには相性がよくありません。
ではどうするかというと、ここでようやく長期的なプランニングの話に戻ります。その答えとして、「時期で分ける」のです。これは英語ではぴリオダイゼーション、日本語で言えば期分けという概念とほぼ同じものです。
基本的には1ヶ月周期や3ヶ月周期(あるいは2週間周期のように短縮するのもあり)で、技術を高める練習と技術を安定させる練習を交互に行います。
また、これまでの説明で想像がつくかと思いますが、基本的に技術を高める練習の方が先に来ますが、どちらが先でもさして違いはありません。
高いレベルの技術を得て、それを基に安定化を図る。そして一定の安定を得たら次の高度な技術へ……というように循環を形成することが大事なので、最初にどちらが来ても最終的に循環を形成できれば問題ありません。
そして、ここが非常に大事な点ですが、JFCやWFC等の試合の直前期間に最後の安定化練習期間が来るよう調整します(当然ですよね)。
で
すが、これは私がテニスが専門だった時もそうだったんですけど、意外とこれが出来てない人が多いんですよね。
特に試合の直前期においては、技術を高める練習はほとんど意味を成しません。もし高い技術の気づきが得られたとしても、定着していないので試合で使う事がきわめて難しいからです。
考えてもみてください、大会の1週間前に初メイクした技を、フリースタイルの中で使いますか?そんな人まずいないでしょう。と言いますか、sick3にすら組み込めないはずです。
流石に初メイクの例は極端でしょうが、それ以外の気付きなどがあったとしても、それが「無意識に出来る」レベルでなければ大会では使い物にならないか、使えても極端に用途が限られるかのいずれかになります。
そして、どんな気づきであれそれを無意識に出来るようになるまでには、それなりの時間、言い換えれば反復練習が必要となります。
ゆえに、試合直前期においては、「新しい技術を習得する」よりも「すでに身に着けた技術について安定性を増す」練習が重要になるわけです。
繰り返しになりますが、技術を安定させることと高度にすることは、基本的に特性の違う練習(それぞれの特性に合った練習)を行わなければ達成できません。
また、どちらかだけを練習すれば、もう片方もついてくるというようなものでもありません。
それぞれの特性についてきちんと理解し、両方ともバランスよく取り組むことが肝要です。そしてそれは先にも述べた通り、同時に行うのは相性が悪いので、一定のスパンで交互に行うことが大切なのです。