4-2 技術の発達段階

 技術を身に着けていく過程で、どのような変遷をたどるでしょうか。
 おそらく厳密な定義はなく、人によって意見が分かれるところもあるでしょうが、私は下記のように分けています。

1.動き方について全く理解できていない状態(想像すらできない)。
2.動き方についてある程度想像できるが、実際には動く事が出来ない。
3.動き方についてある程度想像できており、その通りに体をある程度動かす事が出来るが成功させる事は出来ない。
4.動き方についてある程度理解しており、意識して動けばごくまれにその技を成功させる事が出来る(初メイクレベル)。
5.動き方についてかなり理解しており、意識すればある程度の精度で成功する。
6.動き方についてかなり理解しており、また動作についてある程度細かく意識するポイントを作る事が出来る。更に、そのポイントを意識することでそれなりに高い精度で成功する。
7.動き方について深く理解しており、また動作についてある程度細かく意識するポイントを作る事が出来る。更に、そのポイントを意識すれば高い確率で成功するが、無意識に出来るほどではない。
8.動き方について深く理解しており、動作の最適化を高い精度で行える。意識するポイントが多数あるとともに、それらをある程度無意識に並行してこなすことが出る。技自体について意識すればかなりの精度を持つが、無意識下においてはミスが多いかそもそもチャレンジしない(意識しないと挑戦しない)。
9.動き方について非常に深く理解しており、動作の最適化を高い精度で行える。意識するポイントが多数あるとともに、それらの大部分を無意識化できる。但し、無意識状態においては多少ミスが出る。意識すればほぼ完ぺきに成功する。
 また、フリーシュレッドにおいて該当のトリックにチャレンジする際も意識変化が少ない(そこまで特別なトリックではないという事)。
10.動き方について非常に深く理解しており、動作の最適化を高い精度で行える。意識するポイントが多数あるとともに、それらの全てにおいて無意識化されている。また、無意識状態において殆どミスなく成功できる(無意識化と熟練)。
 更に、フリーシュレッドにおいても該当のトリックを無意識に選択することが出来る。

 ある程度細かくなりすぎないように気を付けましたが、大体こんなところでしょう。
 なお、これらは便宜上10段階に分けましたが、それぞれの段階は等間隔ではありません。
 トリックの難易度によるとは言え、1~4までは大して苦労なく到達できますが、4と5の間はかなりの隔たりがあります。
 また、9以降は膨大な反復練習が必要で、特に9と10の間はとても大きな隔たりがあります。

 余談ですが、フットバッグのフリースタイルにおいては、9か10の段階に到達した技でないと実質的に使い物になりません。
 8に到達している技ならば、一応チャレンジトリックとして取り入れる事は出来るでしょうが、使いどころを限定しないと危険です。
 7にしか到達していない技は、基本的にどのような状況においても取り入れるべきではありません。
 もし9に到達していない技が全体の3割程度を占めるのであれば、かなりドロップが増えることを覚悟しなければなりません。
 また、もしノードロップ構成にしたければ、全体の技の8~9割程度は10の段階にないと厳しいでしょう。
 個人的な感覚として、2ドロップ以内に抑えかつ高いレベルを狙いたいのであれば、フリースタイル全体の8割程度を10に到達したトリックで、1割8分以上を9の段階のトリックで、残りを8の段階のトリックでという割合でしょうか。
 およそ100コンタクト想定で、8の段階にしかないトリックは2トリック程度が限度ということです。

閑話休題

 これらの段階において、大きな転換点となるのは4の段階(初メイク)と9の段階(無意識化)にあるでしょう。
 まず4の段階についてですか、どのような形であれそのトリックを出来た(初メイクした)というのは非常に大きな意味を持ちます。
 出来ないことが出来るようになるというのは技術的な面からも、精神的な面からも大きな転換点となるからです。
 技術的な面で言えば、5の段階に至るまでは基本的に「新しい動きの習得」がメインとなり、これ以降は「習得した動きの最適化」がメインとなります。
 また、精神的な面で言うと、1度でもできたことが有れば、非常に大きな自信につながります。
 「何度チャレンジしても出来ない」のと、「チャレンジすれば何回(何百回かもしれませんが)かに1回はできる」というのは天と地ほどの差があります。

 次に、トリックを無意識に出来るかどうかについては、技術の安定に大きく関わる為に非常に重要なポイントとなりますが、普通に練習していてはまず身につかない為、ここがその技術(トリック)を「使いこなせる」分水嶺になると考えています。
 因みに、私はこの2つのポイントを、トリックが「出来る」と表現する2つの段階として使っています。第1段階を初メイク、第2段階を無意識化ということです。
 但し、技術の無意識化には非常に多くの専門的な反復練習を必要とします。
 上記の8から9の段階に至るためには、おそらく1~8に至るまでの過程に費やした練習量以上の反復が必要となるはずです。
 更に、9から10に至るためにはそれ以上に膨大な練習が必要となり、更に技術の難易度に応じて必要な練習量が飛躍的に増えます。
 明確に意識して練習を行わない限り、特に難易度の高いトリックについては(目安として5ADD以上)、殆どの人は8か9の段階までしかたどり着けないでしょう。
 また、4addのトリックまではある程度無意識に安定させられる練習量は割と現実的な量だと思いますが、5addを無意識に安定して出来るようになるには相当な量の反復が必要になります。

 因みに4ADDと5ADDの間で大きな差が出来る要因は、比較的難易度の低いセット+BOPの構成でたどり着ける限界が殆どの場合4ADDだからです。
 セット以降のトリックをBOPで行い5ADDに到達するには、セットを複数組み合わせるか(spinning ducking、pixe ducking、pixie atomic等)ダブルデックスのセット(barraging、double pixie等)にするか、セットにパラドックスを絡める(nuclear、pdx quantum等)の必要があるためです。

 なお、以前にも触れましたが、動作を無意識化する際に、良い動きだけでなく悪い動きを無意識化してしまう可能性もある(無意識化された動きが常に良いとは限らない)点は注意が必要です。
 そうなると修正が非常に厄介なので、常に自分の動作を最適化する意識を持ち続けなければなりません。
 とはいっても、自分がまだ到達していないレベルの動きをどう判断すればいいのかという疑問はあるでしょう。
 その為にいくつかの方針を定めそれにしたがって判断するべきなのですが、それについては次回の記事にて。

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