1-2.フットバッグにおいて競技力に関連する体力とは

 前回生理学的な知識を中心に解説をしていくと書いたのですが、その前にもう一つだけ記事をはさみます。


 今回は、フットバッグという競技において必要な体力の要素は何かを考えていきます。
 現在、フットバッグに置ける競技は概ねフリースタイル、シュレッド30、シック3、シック1、サークル、リクエストコンテスト、ラストマンスタンディング(リッピンラン)と言ったあたりでしょう。
 これらの中で最も持久力が必要となるのは、2分間の演技種目であるフリースタイル、次いでラストトマンスタンディング、その次にシュレッド30、サークルの順になるでしょう。
 シック3とシック1については持久力はほぼ関係ありませんが、代わりに一つ一つの技の難度が上がるために、筋力、スピード、敏捷性、調整能力辺りがより必要となるでしょう。
 しかしながら、フットバッグの競技的な特性上、シック3やシック1においても、短距離走や跳躍種目、投擲種目のような爆発的な筋力やスピードが必要とされる事はほぼありません。その代わりに動きが複雑なために、制御能力や柔軟性(可動域の広さ)等がより重要となります。
 持久力については、概ね陸上競技の中距離種目である800m走に求められる持久力が最も近いと思われます。
 運動を観察する限りフィギュアスケートもかなり近そうではありますが、私自身に全く経験が無いの確たることは言えません。

 では、そういった必要な要素を鍛えるためにどうするかという話ですが、実は最初の頃はあまり難しく考える必要はありません。
 なぜならば、単純にフットバッグを練習するだけで、一般的体力も専門的体力もある程度同時に鍛えられるからです。
 より具体的言うと、フットバッグを行うことで一般的体力である心肺系の能力やエネルギー生産の能力等が改善されますし、フットバッグの技術を習得することでより効率的な動きを覚え、スタミナの消費を抑えられたりタイミングよく動けるといったような各種専門的体力も鍛えられるという事です。


 とは言え、その中で何をまず優先すべきかと言えば、やはり持久力という事になるでしょう。
 これはフットバッグの競技的な観点からも重要なのですが、何よりも持久力が無いと一定以上の練習時間をこなすことが出来ないからです。
 目標の目安としては、集中してそこそこ負荷の高い内容で、間の休息を含めまずは1時間以上、望ましくは2~3時間程度の練習がこなせるようになることです。
 競技に必要な持久力を考えるのは、まずは練習に必要な持久力を身に付けた後の話です。
 なお、人の身体的及び精神的な持久力の限界から、3時間を超えて連続4時間とか5時間の練習をこなせるようなる必要があるかと言えば、そうではありません。
 むしろ、そんな長時間連続で練習する位なら、練習内容の負荷を上げて、3時間程度で限界になるよう練習を組む方が良かったりします。そのあたりについては追々記事にしていきます。
 そして、持久力と言っても細かく見ればまた様々に分かれていくのですが、そのあたりについては生理学的な知識が必要になってくるので、次回以降説明していきたいと思います。

1ー1.フットバッグにおいて必要な要素を考える

 本連載は、以前私のミスにより消し飛ばしてしまった、フットバッグにおける技術に関する考察を復活させるものです。
 元々テキストエディタで記事の下書きを行い、それをブログで更新する形をとっていたので、大部分はバックアップが残ってはいたのです。
 とは言え、それなりに長い期間書いていてかなりの量になっていたことから、なかなか復活に踏み切ることができませんでした。
 ですが、長期の体調不良から復帰後に参加したJFC等での交流を通し、体力の向上や技術の発達といった事について、総合的な知識が求められている様に感じたため、重い腰を上げて再開することとしました。
 量がかなり多いため以前の更新に追いつくだけでもどれだけかかるか分かりませんが、お付き合いいただければ幸いです。

 本内容は、私が筑波大学体育専門学群で学んでいた4年間の内容をベースに、その後に独自で学んだ知識や、自らの競技スポーツにおける経験から得た知識を加えたものです。
 その道の専門家ほど詳しい訳ではないので内容に不備が存在している可能性が高いですが、もし気になった点があればご指摘いただけると幸いです。
 また、以前書いていた内容についても、適宜内容をチェックし、必要であれば修正を行い投稿する予定です。

 まずは、やはりフットバッグに必要な体力の話から始めましょう。
 体力というとかなりの人が持久力と同様の意味で捉えているように感じるのですが、本来体力とはもっと広範な意味を持ち、筋力、スピード、持久力、敏捷性、可動性(柔軟性)、調整(制御)能力といった種々の能力の全体を意味します。
 ですので、今後体力という言葉を使う場合は本来の人間の能力全体の意味であり、持久力とは明確に区別します。
 そして、スポーツにおける体力は更に一般的体力と専門的体力に分けることが出来ます。

 一般的体力とは特定のスポーツに限らない体力の事であり、専門的体力とは特定の競技あるいは運動形態において高いパフォーマンスを発揮する為に即した体力の事です。
 基本的に運動とは、突き詰めればどうエネルギーを生み出すか、生み出したエネルギーをどのように使うかという事に集約されます。
 その、どうエネルギーを生み出すかという部分に関わるのが一般的体力、生み出したエネルギーをどう扱うかというのが専門的体力と言い換えても良いかもしれません。
 例えば酸素を取り込み細胞に届ける能力である心肺機能関連の能力、エネルギー生産の要であるミトコンドリア関連の能力、力を外的に発生させる唯一の帰還である筋肉に関する能力(筋量および最大筋力)といったものが、一般的体力に属します。
 一方で、例えばその生み出したエネルギーを用いてどれだけ速く走ることができるかというスプリント能力、限りなく遠くへ跳ぶ跳躍能力、円盤やハンマー等を限りなく遠くへ投げる投擲能力等は、専門的体力に属します。

 この二つはあらゆる競技における競技力に必須の両輪であり、どちらかだけを鍛えても高いパフォーマンスは望めません。
 例えば100m走において、どれだけ一般的体力(概ね最大筋力とスピード)が優れていても、速く走るための方法を知らなければ決して10秒を切れない、またその逆も然りだということです。
 これはどんな競技においても必須の考え方であり、必然的にフットバッグにおいても必要な考え方だと言えるでしょう。
 そしてそのことについて考えていくために次回から、まずは生理学的な知識を中心に解説を始めたいと思います。