さて、これまで練習計画のプランニングについて説明してきたことについて、実際にどのように段階を踏むかをまとめていきましょう。
因みに以下で述べるプランは、これまでそこそこフットバッグを練習してきたけど、あまり本格的に取り組んでなかった程度の体力レベルからスタートすることを目安としています。
ですので、例えば1年以上まともに運動もしてなかったような体力レベルの人はもう1段階程度軽い段階(それこそ週2~3回程度)から取り組む必要があるでしょう。
(1)第1段階~フットバッグのみ、あるいはフットバッグ+低強度の持久力トレーニング~
この段階は、基礎的な持久力を身に着ける事とフットバッグの動きにある程度習熟する(動作の最適化を行う)ことを主眼に置きます。
フットバッグの動きをある程度効率的に行わないと、どんなに持久力を身に着けてもすぐに練習を続けられなくなってしまうからです。これを言い換えると、専門的体力を身に着けるという事にもなります。
またこの段階においては、単純にフットバッグを行うだけである程度持久力トレーニングとして効果も期待できます。
ですので、まずはフットバッグのみを練習し、ある程度身体的に余裕があるなら遅いランニング等のあまり強度の高くない持久力トレーニングを行えばよいでしょう。
練習は週4回を目安に取り組み、1回の練習時間は大体1時間30分から長くとも2時間程度を目安にスタートします。
そして、なるべく早く1日の練習時間をある程度の質を保ったうえで、2時間からそれ以上(上限は3時間程度)できるようになることを目指します。。
練習回数を週4回より少なくすることは非推奨ですが、どうしても疲労が抜けない場合は週3回と週4回を行ったり来たりしながら体を慣らしていきましょう。
また、この段階で栄養補給やアクティブレストについてきちんと理解し、自分の体を回復させるために必要な行動に慣れて感覚をつかみましょう。
安定して週4回、最低でも2時間以上の練習を行ったうえで、問題なく週4回の練習がこなせるようになれば、次の段階に移ります。
(2)第2段階~専門的な持久力トレーニングを段階的に取り入れる~
この段階では、フットバッグだけを行う事にプラスして、専門的な持久力トレーニングに取り組み始めます。
持久力トレーニングは、嫌気呼吸的な持久力も当然含みますし、嫌気呼吸を短い休息で断続的に反復する持久力(≒短い休息で回復する力)も含みます。
考えられるトレーニングは100m~300m程度の短距離走、100m~200mのインターバルトレーニング、低強度のランニング(心拍数120~140程度で1時間程度)、高強度のランニング(心拍数140~160程度で30分~45分程度)等です。
一番必要な道具が少なく、またある程度場所を問わず行えるという事で陸上の走る系のトレーニングを例に出していますが、もちろん他の方法(例えば自転車トレーニングなど)でも問題ありません。
週4回の練習の内、フットバッグのみを行う日を2回、フットバッグ+トレーニングの日を2回が目安となるでしょうか。
場合によってはトレーニングのみの日を設けても構いませんが、あまり推奨されることではありません。
どうしてもフットバッグを行う場所や時間が確保できないときに、代替的に行うくらいの意識で問題ないと思われます。
なお、週4回の練習だと2日連続で練習する日が必ずどこかにありますが、その1日目にトレーニングを入れないようにして下さい。
特にトレーニングを取り入れた初期段階においてはかなり身体にダメージを負う事が予想されるので、翌日に休息日が無いとかなり危険です。
また、短距離走やインターバルトレーニングは、これまで取り組んだことが無いのならかなり軽め(それでも負荷は高いですが)に行いましょう。
回数的には、5回を目安にすればよいと思います(それでも負荷が高すぎる場合は3回に減らしても良い)。
具体的なトレーニングの行い方は別記事である程度詳しく取り上げます。まずは持久力を鍛えるというよりも、トレーニングの行い方になれるくらいの感覚でちょうど良いくらいだと思います。
後は自分の体と相談しながら、少しずつ量を増やしていきます。一気に数を増やすことはお勧めできません。
例えば100mのインターバル5本になれたら、次は6本に増やしてみる、というような具合です。
この時、フットバッグのみの練習は2時間30分~3時間、フットバッグ+トレーニングの場合合計で3時間程度(フットバッグ2時間+トレーニング1時間)というの一つの目安になるでしょう。
そういった形で徐々に自らの持久力を高めていき、インターバルトレーニングで100mを10本あるいは200mを5本程度こなせる、ランニングにおいて30分間でキロ5分程度で走ってもそれなりに余裕がある程度まで達したら、次の段階に移って良いと思います。
なお、この段階において自らの身体の変化に対する感覚を磨いておきましょう。
例えば負荷の高いトレーニングを行った後に、自分の体がダメージをどれくらい負うのか、その状態ではどのような感覚になるのか。
体の中で疲労が偏ってはいないか、偏っているとすればどのようにその疲労を抜くのか。
体がきついと感じているのは、本当に身体的なダメージが深いのか、それとも単に苦しいトレーニングから逃げたがっているだけなのかなど等。
それらの感覚の精度を高めなければ、今後取り組む5勤2休の練習プランで効果的な内容を行うのは難しいですし、ましてやその中で強度の高いトレーニングを行うのは至難の業です。
トレーナーなどが居てきちんと体の状態とトレーニングの負荷を管理してくれるなら話は別ですが、それは非常に難しいと思われますので、自分でしっかりと自分の状態を精度よく判断できるようになる必要があります。
(3)第3段階~5勤2休に慣れる~
この段階に達しているという事は、持久力を含めた体力レベルがそれなりに高い段階まで上がってきていることを示しています。5勤2休のプランに取り組める準備が整ったと考えて良いでしょう。
以前にも述べましたが5勤2休の内訳は、2日練習して1日休み、3日練習して1日休みというペースが一つの基準となります。
休息日の前日はフットバッグ+持久力トレーニング、それ以外の日はフットバッグのみという形が基本です。
なお、1日の練習時間は目標としては1日2時間30分~3時間が目安ですが、移行したばかりの時期は短くすることも選択肢として有りです。それでも、2時間程度は行う必要がありますが。
また、あまりにもつらいと感じる場合は、週4回+トレーニングのサイクルと行ったり来たりしたり、あるいは一時的に週5回でトレーニングは無しにするなどの対応も考えられます。
5勤2休の練習プランは、自分の体をきちんと管理する意識が無いと続けられません。また、機械的に2日練習1日休み、3日練習1日休みのサイクルを繰り返せばよいというものでもありません。
自分の体を的確に把握し、場合によっては休息日を1日増やし練習を週4回に減らしたり、あるいは練習回数を減らさないまでも強度を落としたりと柔軟な対応が必要になります。
これは前段階で言及した自らの身体の感覚がある程度育っていないと難しいです。
まだこのあたりの感覚が不安な人は、基本的に安全側に練習内容をシフトさせる方が無難です。
結果的に練習内容の質が低下するだけなら自分の成長速度が多少遅くなるだけで済みますが、もしオーバートレーニングに陥いったり怪我をしたりすると、大きな停滞を生むことになります。
それで済めばましな方で、場合によっては取り返しのつかない状態(競技継続が不可能など)に陥る可能性すらあります。
特に一人で練習のプランニングから栄養管理まで行わなければいけない現状では、どうしても全ての面で完璧を期すというのは難しい面があります。
殊更に、5勤2休に取り組み始めた初期においては、過剰なくらい自らの身体に注意を払いましょう。
練習の強度については、場合によっては前段階で取り組んでいた内容から落としても構いません。
それで5勤2休に慣れ、その上で徐々に練習とトレーニングの強度を上げてゆきましょう。
(4)第4段階~5勤2休で高い負荷の練習及びトレーニングを行う~
第4段階です。5勤2休の内容で高い負荷の練習やトレーニングを行います。
フットバッグの練習においては技術的な課題の方が壁になるでしょうが、トリプレス中心のシュレッドやビースト、あるいは単発のトリックでは7ADD以上の練習などが考えられるでしょう。
持久力トレーニングにおいては300mダッシュを完全休息をはさみながら全力で5本、100mインターバルを20本あるいは200mインターバルを10本およびその組み合わせ、キロ4分~4分30秒程度のペースでのランニングを1時間(ペース変化有り)などがメニューとして考えられます。
なお、強度が上がるだけで練習スケジュールについては前段階とほとんど同じと考えて構いません。
更に300m走やインターバルトレーニングにおいては、個々の記録についても高いレベル(300mなら45秒以内、100mインターバルなら最後の1本を16~15秒以内、200mなら最後の1本を36~34秒以内等)にすることを意識します。
この段階は練習時間そのものがあまり変わらないのですが、練習内容の強度が非常に上がり質の面でかなりの違いが出ます。
また、確かに非常に高い効果が見込める練習やトレーニングを行えますが、人の身体的な限界に近づいていることを意識しなければなりません。
ですので、自らの身体の変化に対しても最大限の注意を払う必要があります。
非常に高い負荷の練習やトレーニングを行うという事は、それだけオーバートレーニングや障害を負う可能性が高まるという事だからです。
また、免疫力も相応に落ちるため、病気で体調を崩す事にも注意しなければなりません。
食事や睡眠についてもかなり注意を払う必要があり、感覚としては生活の大部分が練習やトレーニング及びそのコンディショニングを中心に回るようになります。
様々な点でストレスのかかる生活になるので、身体の管理のみならず精神的なコンディショニングも行う必要があります。
(5)最終段階~5勤2休で練習を行いそのほぼ毎回にトレーニングを追加して行う~
最終段階です。練習日のほぼ全てでフットバッグ+トレーニングの形となり、更にそこに高強度のトレーニングなどを取り入れます。
時間的にはフットバッグ2時間30分+トレーニング30分~1時間やフットバッグ3時間+トレーニング30分程度となります。
また、休日など1日時間が取れる場合には、午前3時間練習+午後3時間練習といったような2部練も必要となるでしょう。
あくまで連続して3時間を超えるような練習を行うと質が落ちるだけで、間に長めの休息を入れたり栄養補給を行えば、2部練という形で6時間程度の練習時間を確保することは可能です。
例えば朝9時から12時まで練習、12時から14時まで昼食と休憩、14時~17時まで練習というような具合ですね。
その中で、もっとも強度の高い内容となる日は休息日の前日に設定します。
疲労がある程度たまっても5勤2休を崩すことはせず、練習しながら身体を回復させるということが出来るようにならなければなりません(限度はありますが)。
体力的な面でも技術的な面でも極めて高いレベルにあるために、本人はアクティブレストのつもりで行っている運動が、一般人から見るとガチ練にしか見えない、という事が起こり得ます。それゆえに毎日練習しているように見えるのですが、実際には休息日をはさんでいるのです。
他のメジャーな競技ならば、アマチュアの最上位レベルから、実業団所属やプロとして活動しているレベルまでここに含まれます。それだけ幅があるという事ですね。
もしこの段階において質の高いレベルまで到達できれば、心技体の体の面においてはほぼネックとなる事はなくなったと考えて良いでしょう。
また、心の面においても相当なレベルに達しているはずです。なぜなら、心の面でも高いレベルに達しないと苦しい練習をこなせないからです。
ここまで高い体力レベルにあるならば、技術的な進歩も相当な速度で進むことが期待されます。
但し、第4段階以上に高い負荷がかかるため、更なる注意を必要とします。栄養学、運動学、生理学、体力学等の運動理論についての知識もある程度欲しい所です。
また、この段階になると単に自らの身体を鍛えるという考えだけでは不足で、精神面での成長も重要になってきます。
可能であればハートレートモニター(心拍数計測器)を始めとした、自らの運動を客観的に測ることのできるデバイスを併用した方が、より効果の高い練習を行う助けとなりますし、自らの感覚の精度を高めるのにも役に立ちます。
これについてはいずれ別記事で。
ここまで練習計画のプランニングについてみてきました。これ以降は、負荷の種類や練習の量と質についての考え方などについても説明していきたいと思っています。